人間万事塞翁が馬

主に観劇の感想を、言いたいことだけ。

北斗の拳 フィストオブノーススター 2

こんにちは。続きです。

 

私って、そんなに北斗の拳詳詳しかったっけ?と思って初めて読んだのいつだっけなと振り返ると、高校の時でした。

だいぶ昔なので話覚えてないところとか違うところがありましたら、あしからず。

漫画読んだ当時は、これは拳と拳がぶつかるバトル漫画というより、壮大な愛(というか主にユリアへの執念)についての物語なんだなと感じました。愛ゆえに人は苦しまねばならぬのです。そういえば名言たっぷり聖帝サウザー様は出てきませんでしたね。ちょっと寂しい。

今回のミュージカルは、その点はバトルに振っていたかなと思います。兄弟愛とか隣人愛とかユリア愛とか各所散りばめられていましたが、見どころはやっぱり円城寺さんのマッソーとアクションでしたから。

 

今回のミュージカルで割と美味しかったのはリンとバットではなかろうかと思います。

正直漫画ではそんなに好きなキャラクターじゃなかったんですが、なんかいちいち邪魔だなってちょっと思ってたんですが、こう、ミュージカルにくると、必要でしたね。いたいけな子どもの存在。

今回それぞれ持ち歌?みたいなのがあって、それがまたお上手で、堂々歌い上げられると、私今ミュージカル観てる!って満足度が爆上がり。バット役の方、たぶん役者として主役を張るようなポジションでもビジュアルでもないのだけど、バットをやらせるとこんなに輝きますかってくらい輝いていました。お歌が上手い。もう安心して観てられる。やるじゃんバット、!

リンちゃん役の子は、お年はおいくつだったのかしら?世紀末の無垢なる少女を完璧に体現されてました。ピュアで健気で一生懸命で、もうずっと観てたい。出演作追いかけたくなっちゃう。とはいえお名前覚えてなくてごめんなんだけど。終演前のお辞儀のときも一番おっきい拍手もらってました。そりゃあそうだ。

 

あと言いたいのは、お馬ちゃん。

やっぱり拳王・ラオウ様の愛馬は巨大な、いかつい黒いお馬ちゃんです。アンドレとオスカルは白馬(ペガサス?)に乗りますが、漢の中の漢は、王騎も前田慶次も然り、漆黒の巨馬に乗るわけです。

わー!おっきいの出てきたー!すごーい!ってパッと見思ったんですが、中の人の形がわかっちゃってからは妙にツボで。目が離せない。前後でお二人、いらっしゃいましたね?獅子舞と同じ要領ですね?いえ、ご立派なお馬ちゃんぶりでした。前の人がね、お馬ちゃんの頭の部分をプラカードみたいに掲げているんでしょう、揺らすとお馬ちゃんがいなないてるかのように見えました。さらにご自身の足はそのままお馬ちゃんの足になってまして、地面を蹴ればさも蹄を鳴らしているかのように見えるのです。これはこれでひとつの完成されたエンターテイメントでした。

しかし方向転換して体ごと横を向いたとき、ほっそりしたウェストに思わずニヤリ。前の人と後ろの人の間、布だもんね、?獅子舞もね、獅子頭に注目されがちですが、全体見ちゃうとおっさんの毛深い足がにょきっと出ているわけです。完成されたラオウのお馬ちゃんも横からみると途端に張りぼて感が露わに。歩く姿もどことなくコミカル。1.2.1.2って声が聞こえてくるんじゃないかしらと。二人息合わせて頑張って、、!と心のどこかで応援したくなる愛すべきお馬ちゃんでした。

 

そう、全体通して、本編よりも気になる小ネタが満載だったのです。

笑っていいのかダメなのか、判断に迷いながら各々のタイミングで笑うミュージカルでした。隣の人と斜め後ろの人と笑うタイミング全然被らなかったし。え、今笑うんだ?みたいなところ、あったし。

オフィシャルサイトのコメントみたいなところには、「あべし!のシーンはお稽古中から必ず笑いが起こるシーンですので、みなさんも是非笑ってください!」的なこと書いてありましたが、圧巻のあべ死を見せつけられると笑いたいけれども、笑いよりも感動したい自分が邪魔をしました。

幼少期のユリアと3兄弟の思い出のシーンでは、ユリアがもってる鞠が妙にテカテカなところが気になっちゃったし。これって、あれだよね?バラエティ番組とかで不正解だと落とされる穴に入っているカラフルなボールだよね?それに鞠っぽくテープ貼ったよね?なんでここお金かけなかったん?と。

極めつけは、虎。修行中のケンシロウラオウが虎と闘ったり手懐けたりするエピソードなんだけど、入ってこない。なぜって、虎のビジュアル。ラオウのお馬ちゃんは中に人使って、もう少しでライオンキング(劇団四季)!の仕上がりだったのに、突然のぬいぐるみ感。ちょっと男子ー、真面目にやってー?と言いたくなりました。至って真面目にやっていたんでしょうけども。

世界に入り込みたい私と、あくまで客席から冷静に見つめる私のマリアージュ。観劇してると割とよく陥る状態ですが、より顕著だったかなと思います。

 

あと私北斗の拳という作品に触れるときに、忘れまいと心に決めていることがあります。

ケンシロウにはラオウ、トキ以外にも兄弟がいるってこと。北斗4兄弟なんだってこと。

ジャギ。

ミュージカルでもまっったく触れられず完全スルーで北斗3兄弟って言われてました。だってザコなんだもん。漫画でも途中から見事なまでに忘れられていて、そんなジャギを世界中が忘れても私は、私だけは、忘れずにいてあげようと思っていました。

ジャギ。

ごめん、正直私も、生き様も死に様もちょっと思い出せないんだけど、存在だけは覚えてる。あなたもいつかミュージカルで歌って踊る日が来るって信じてるよ。